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    かけはし2021年2月8日号

「善良な企業」LG資本の醜い仮面をはぐ


清掃労働者の闘い

キム・ゴンス(学生委員長)


 2019年10月、LGグループ本社のある汝矣島LGツインタワー清掃労働者たちは、生まれて初めて労働組合を作った。すでに労組に加入した近所のビル清掃労働者と出勤バスを一緒に乗って話を交わしながら、労働組合について知るようになったという。それまでLGツインタワー清掃労働者たちは長ければ10年、短くても3年の間管理者によく見てもらうために順次に金品を上納した。賃金を削るために使用者側の「労働時間削り」で強制的な週末出勤までさせられた、10年の間に賃金引き上げはなかった。それで、労働者としての権利を求めるために労働組合を選択した。

 労組を作ると勤務時間削りは消え、初年の2カ月間は皆勤手当2万5000ウォンも生じ自信を得た。しかし、その後の1年の間、使用者側の意図的な交渉軽視と労組破壊の時間が流れていった。会社は、たかが「時給60ウォン引き上げ」にこだわって交渉を決裂させ、組合員のロビー宣伝戦を禁止する仮処分申請を出すと、組合員不当懲戒で労組破壊を試みた。

 ついに2021年1月1日付でLGが100%出資した子会社S&Iは、この清掃労働者が所属する用役業者INCとの契約を解約し、それにともなって組合員を含むLGツインタワーで働いていた清掃労働者80人が全員解雇された。解雇通知を受けた日は、2020年11月26日。10年を何の問題もなく働いてきのに、「1カ月後からは、ここの職員ではない」という青天の霹靂のような通知は、衝撃そのものだった。公共運輸労組LGツインタワー分会はすぐに12月16日から全面ストとロビー徹夜座り込みを始めて、今日まで続いている。

叔母たちには数10億、
清掃労働者には60ウォン


そんな中、LGツインタワー清掃労働者の闘いが急に話題として浮上したのは、1月1日の解雇された日ロビーで行われた深刻な人権侵害の事態のためであった。すでにその前から連帯隊伍の出入りを遮断していた警備らはロビーで座り込みをしていた組合員に1月1日から食品と電気、暖房を切って、はなはだしくはトイレの使用さえ妨害し、労働者の人権を蹂躙した。解雇された労働者が寒波の中ロビーに閉じ込められて一日中飢えているという動静が知れ渡り、人々がLGツインタワー前に集まった。しかし、用役警備らは連帯隊伍が労働者たちに届けようとしたお弁当まで床に叩きつけるなどの暴力で食い止めた。この事件が知らされるや世間の怒りを誘った。

 清掃労働者の要求は、元請のLGが雇用を受けつぐ責任者ということだ。さらにこの下請けの用役業者INCの大株主はLGグループ総帥ク・グァンモ会長の叔母らである。労働者たちは、過去1年の間、闘争しながら下請け業者が事実上LG資本の「かかし」ということがわかった。管理者らから「自分たちはただ上の命令を受けるだけ」だとし清掃労働者の要求を回避した。

 清掃労働者の闘いが話題になると、LGとINC間の仕事内容など不公正取引がマスコミに報道された。INCはLGツインタワーのほかにも、LGから数多くの建物管理用役を受け、収益を上げていて、INCがク・グァンモ会長のふたりの叔母に(この2人がINCの全部を持っている)配当金として支給した50億ウォン(2018年)と60億ウォン(2019年)は、純利益を超え、剰余金まで集めて支給したということも明らかになった。

 さらに、〈JTBC〉の最近の報道によれば、LGは清掃労働者にはせいぜい時給60ウォンの引き上げ案を固執しながら、INC側には、業界の慣行よりも多くの雇用費を支給した。そのお金は、労働者たちにではなく、そのままINCの純利益と大株主である総帥一家の配当金に回った。

連帯で前進する闘い

 このような事実が明らかになるとLG資本はク・グァンモ会長のふたりの叔母がINCの株式を売却することで掃除用役も中小企業に委託すると発表した。しかし、彼らがすでに解雇した80人の労働者に対しては一言半句もない。そのために、労働者たちは、まだ寒い日のロビーで「元請が責任をもって雇用を受けつぐ」ことを要求し闘っている。

 LGツインタワー清掃労働者の闘いは、連帯の力で前進している。特にソーシャルメディアを通じた「一食連帯」が話題だ。LGツインタワー社内食券が5500ウォンだが、動静が広がり、集まったお金だけでも4000万ウォンを超えるという。

 一方、すでに大学のキャンパスで非正規清掃警備労働者と連帯してきた青年学生をはじめ、労働・市民団体、LGツインタワー労働者に労働組合を勧めていた仲間の労働者が用役警備の暴力に対抗してロビー進入闘争を繰り広げている。そのおかげなのかは分からないが、ロビーの中で座り込み中の労働者たちは、まだ希望の紐を離さず、朝食、昼食、夕食で力強い闘いを進めているという。

 LGツインタワー清掃労働者の闘いは、コロナ19まで出くわした労働者の現実を象徴的に示している。労働者の闘争にだけ強力に適用される「K−防疫」に塞がれて、解雇労働者たちはあたり前とされてきた集会を一度もやってこれなかった。LG資本の無茶苦茶な解雇と人権蹂躙にも屈せず、労働組合として団結したLGツインタワー労働者の姿は、コロナ19時期に労働三権を失った私たちの希望であるとともに、勇気であるということができる。

 LGツインタワー闘争を支援するために、いくつかの団体が集まって共同対策委員会を結成し、変革党も共にしている。共対委はLG不買運動を通してLG資本をさらに圧迫したい。清掃労働者の雇用と労働組合を守るための闘争に多くの仲間が共にすることを提案する。


(社会変革労働者党「変革と政治」120号より)




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